債務整理の弁護士費用にはルールがある
弁護士の報酬については、2004年4月1日から弁護士会の報酬基準が廃止されるに至りました。
そのため、弁護士は、それぞれの弁護士事務所で報酬基準を持つようになり、自由に料金を定められるようになりました。
しかし、債務整理事件とこれに伴う過払金請求事件に関しては、一部の弁護士に不適切な事件処理や報酬の請求を行う例が見られたことから、2011年2月、日本弁護士連合会は、債務整理の弁護士報酬のルールをつくりました。
一定の範囲の債務整理事件における弁護士報酬の上限を定める「債務整理事件処理の規律を定める規程」が定められることになったのです。
これにより、2011年4月1日以降に弁護士が受任した債務整理事件は、このルールに従うことになりました。
破産事件等は対象外
「債務整理事件処理の規律を定める規程」において定められている報酬規制については、消費者や零細事業者の任意整理事件の報酬規制が主になっています。
破産事件や個人民事再生事件などは、この規程に定める報酬規制の対象外となっているため、任意整理事件以外の債務整理手続を依頼した場合の弁護士費用については、その費用は弁護士ごとに異なります。
なお、「債務整理事件処理の規律を定める規程」は、臨時の規制であり、施行状況などをみて、施行から15年以内の間に定めた日に失効することになっています。
報酬規制の抜粋
「債務整理事件処理の規律を定める規程」において定められた報酬規制に関する部分の抜粋はつぎのとおりです。
報酬規制抜粋
「債務整理事件処理の規律を定める規程」の内、報酬規制についての主な点は次の通りです。
消費者や零細事業者の任意整理事件の報酬規制が主になっています。
※破産事件、民事再生事件などは報酬規制の対象外です。
- 消費者や零細事業者の任意整理事件の着手金の規制
- 消費者や零細事業者の任意整理事件の報酬金の規制
上限規制はない
a.解決報酬金:1社あたり2万円以下が原則。商工ローンは5万円以下。
b.減額報酬金:減額分の10%以下。
c.過払金報酬金:訴訟によらない場合回収額の20%以下。 訴訟による場合回収額の25%以下。
債務整理の弁護士費用の相場
前述の通り、「債務整理事件処理の規律を定める規程」において定められている報酬規制は、消費者や零細事業者の任意整理事件が主になっています。
破産事件や個人民事再生事件などは報酬規制の対象外となっているため、弁護士費用は弁護士ごとに異なります。
しかし、全く弁護士費用の相場の見当もつかないのでは困ってしまいます。
そこで、千葉弁護士会・愛知弁護士会・大阪弁護士会の各法律相談センターのホームページにおいて掲載されている「法律相談センターから弁護士を依頼した場合の弁護士費用」をご紹介します。
債務整理の際の弁護士費用の相場・目安の一つとして参考にして下さい。
ただし、
- 債権者の数
- 事件の複雑さ
- 特異性のある案件
など、個々の具体的な債務整理事案によっては、弁護士費用の相場・目安に当てはまらない場合があります。
債務整理の弁護士費用一覧表
千葉弁護士会・愛知弁護士会・大阪弁護士会の各法律相談センターのホームページにおいて紹介されている債務整理手続費用を一覧表にまとめました。
但し、各弁護士会の法律相談センターから弁護士を依頼した場合の弁護士費用の目安となっていますのでご注意下さい。
債務整理種類 | 大阪 | 愛知 | 千葉 |
---|---|---|---|
破産 | (同時廃止事件)
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(同時廃止事件) 申立費用:30万円程度 |
着手金と報酬金の合計で概ね30~60万円程度 管財人が選任された場合管財人費用が別途必要です |
個人再生 |
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申立費用:30万円~50万円程度 | 着手金と報酬金の合計で概ね30~60万円程度 |
任意整理 |
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貸金業者1社につき
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債権者数1名あたり
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過払い金 | (全ての手続に共通)
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貸金業者1社につき
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備考 | どの手続についても過払金を取り戻した場合 にはその20%以下が報酬金として加算されます |
具体的な事件の処理に当たっては上記の複数 が適用される場合や上記の基準が当てはまら ない場合があります |
事業者や会社の倒産事件の場合は費用の目安 が異なります |
*参考:大阪弁護士会・愛知県弁護士会・千葉県弁護士会の各法律相談センター
*2021年3月5日現在の情報です
- 着手金とは弁護士に依頼するときに支払う費用
- 報酬金とは事件終了時に支払う費用
- これ以外に郵便切手代・印紙代などに充てるための実費が必要です
- 別途消費税が加算されます