自己破産

自己破産すると退職金も換価処分されてしまうの?

プロモーションが含まれています

自己破産と退職金

自己破産すると退職金も換価されるの?

自己破産すると退職金も換価処分の対象となるのでしょうか?

退職金債権は、民事執行法152条2項では、その4分の3が差押禁止債権となっています。

民事執行法152条2項

(差押禁止債権)
第百五十二条 次に掲げる債権については、その支払期に受けるべき給付の四分の三に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)は、差し押さえてはならない。
一 債務者が国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権
二 給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る債権
2 退職手当及びその性質を有する給与に係る債権については、その給付の四分の三に相当する部分は、差し押さえてはならない。
3 債権者が前条第一項各号に掲げる義務に係る金銭債権(金銭の支払を目的とする債権をいう。以下同じ。)を請求する場合における前二項の規定の適用については、前二項中「四分の三」とあるのは、「二分の一」とする。

自然人の自己破産が管財事件となった場合、民事執行法上の差押禁止債権は 自由財産となるため、退職金債権について言えば、その4分の3相当額が自由財産となり、差し押さえが禁止されます。

従って、退職金債権の4分の1は差し押さえが可能となるため、破産手続上も自由財産とはならず、換価の対象となります。

自由財産と自由財産拡張制度

まだ退職金を受け取っていない場合

自己破産の開始決定時に、まだ退職金を受け取っていない場合もあります。

現在、現役の会社員である方が自己破産する場合、退職金は将来退職する際に支給される「将来の債権」です。

将来のことなので、

  • 会社が倒産する
  • 退職時までに解雇される

などの可能性もあり、退職金が支払われないことも考えられるわけです。

そこで、多くの裁判所では、破産手続開始決定時点で退職したと仮定した場合に支給される予定の金額(見込額)の8分の1を、破産財団を構成する退職金債権として換価対象としています。

8分の1の金額が20万円以上の場合は、破産管財事件として扱われます

但し、近々(半年以内)定年を迎える予定であるなど、解雇されるリスクも会社が倒産するリスクも極めて少ない場合には、4分の1に近い金額を換価対象とする場合もあるようです。

退職金見込額の調査

退職金の見込額は、勤務先に依頼して退職金見込額証明書を発行してもらうようにします。

証明書の収集が困難な場合は、勤務先の就業規則を入手します。

退職金支給規程から自分で退職金見込額を算出の上、計算書を作成して、裁判所に提出することが求められます。

自己破産が会社にバレることはあるのか?

すでに退職金を受け取り済みの場合

自己破産の破産手続開始決定前に退職して、すでに退職金の支給を受けている場合、退職金債権は、

  • 現金
  • 預貯金

に変化しているので、基本的には、99万円を越える部分が破産財団を構成すると考えられています。

退職金は自由財産の拡張対象になる?

破産者の経済的更生のためには、自由財産以外の財産も自由財産として破産者の手元に残すことが必要となる場合もあります。

そのため、破産者から自由財産拡張の申立てがなされた場合、裁判所が必要と認めるときは、自由財産の範囲を拡張することができます。

退職金債権は、大阪地裁では自由財産の拡張適格財産となっていたり、東京地裁では自由財産拡張基準に含まれています。

大阪地裁では、退職金債権は、支給見込額の8分の1が自由財産拡張適格財産として評価されています。

但し、既に退職済みで退職金未受領の場合や、数ヶ月以内に退職が予定されているなど、事情によっては、支給見込額の4分の1を評価する場合もあります。

注意ポイント

自由財産拡張については裁判所によって取り扱いに違いがありますので、自己破産を申し立てる裁判所の情報をご確認下さい。
申立裁判所について
自己破産の必要書類
自己破産の必要書類にはどんなものがある?作成の注意点は?

自己破産の必要書類にはどんなものがある? 自己破産の必要書類にはどのようなものがあるでしょうか。 申立書を構成している書類や、添付して提出しなければならない自己 ...

続きを見る

-自己破産