自己破産が会社にバレることはあるのか
自己破産すること、または、自己破産したことが、会社にバレることはあるのでしょうか。
- 自己破産申立を予定していること
- 自己破産の申立を終えたこと
これらのことを勤務先の会社に報告しなければならないという決まりはありません。
報告義務があるわけではないので、その意味では、自己破産申立が会社にバレることはないと言っていいでしょう。
また、自己破産申立をするにあたって、裁判所が勤務先に在籍確認をしたりすることはありません。
自己破産申立がなされたことを、裁判所が勤務先の会社に報告したりするといったこともありません。
しかし、絶対に、自己破産が会社にバレないということはなく、いくつかの事情によっては、自己破産が会社の知るところとなることがあります。
上記のように、基本的には、自己破産申立が会社にバレることはありません。
しかし、事情によっては会社にバレることもあります。
どのような事情で、自己破産が会社にバレることになるのか、考えられるものを以下に紹介します。
会社や同僚から借金しているとき
会社や同僚から借金をしている場合には、自己破産することが会社にバレてしまいます。
勤務先である会社や、会社の上司や同僚から借金をしている場合、当然、これらの方々は債権者の一人です。
自己破産申立ての必要書類の一つである債権者名簿に計上して、裁判所に自己破産申立しなければなりません。
債権者には、裁判所から、自己破産手続が開始された旨の通知が郵送されますので、自己破産の事実は知られてしまうことになります。
注意ポイント
借金滞納で自己破産が会社にバレる可能性
会社や同僚から借金していなくても、金融業者に対する返済金の滞納が続いているなどの事情があれば、金融業者から勤務先に連絡が入る可能性が考えられます。
借金の返済を督促されるような電話連絡が会社に入ると、経済的に困窮していることが会社の知るところとなります。
更に、借金滞納の結果、給与の差し押さえがなされたりすると、裁判所から勤務先に通知が届きますので、自己破産するという以前に、【借金していること】は確実に会社の知るところとなります。
給与の差し押さえを受けるような経済状態の方は、早急に、自己破産等の債務整理をする必要がありますので、その後の経過によっては、自己破産に至ったことが会社にバレる可能性があります。
退職金証明書を依頼するとき
自己破産申立をするとき、5年以上の勤務歴がある場合には、「退職金(見込額)証明書」を裁判所に提出する必要があります。
退職金の支払いがない会社であっても、「0円」であることを証明してもらう必要があります。
会社に「退職金(見込額)証明書」の発行を依頼すると、なぜ必要なのかという理由を尋ねられます。
自己破産申立に必要であるため等と正直に理由を伝える必要はありませんが、うまく説明できないと、自己破産することが会社にバレることが考えられます。
なお、「退職金(見込額)証明書」の収集がむずかしい場合には、就業規則や退職金支給規程などの写しとともに、計算書を提出することが求められます。
官報から自己破産が会社にバレる可能性は低い
裁判所で支払不能状態と認められると、破産手続開始決定がなされ、官報という国が発行する機関紙に、公告が掲載されます。
誰が、いつ、破産したかが、掲載されています。
破産した人を特定できる情報として、住所と氏名が掲載されています。
官報は、誰でも見ることができますが、一般の人で官報を購読している人はまずいません。
同様に、一般の企業で、官報を購読しているという会社も少ないのではないでしょうか。
また、官報には、毎日大量の破産公告が掲載されていますから、その中から特定の誰かを見付けだすことは大変困難なことでもあります。
官報の公告掲載から破産したことがわかってしまうということは、まずないと考えてもいいのではないでしょうか。
自己破産が会社にバレると解雇される?
会社に自己破産がバレると解雇されてしまうのではないかと心配して、自己破産による債務整理を躊躇する人もいるようです。
しかし、勤務先に破産したことを知られてしまった場合でも、破産したからといって、退職させられる理由にはなりません。
自己破産したことを理由に解雇されるようなことがあれば、解雇無効として争うことも可能です。
資格制限で他業務に従事させられる可能性
一部の職業については、自己破産による資格制限があります。
そのため、自己破産で資格制限を受ける職業に就いている場合、他部署に転換されたり、他の人に業務を交代されたりすることは考えられるでしょう。
破産法以外の法令によって資格を制限されるのは、破産手続きのデメリットでもあります。
就業上の支障がある場合には、任意整理や個人再生など、自己破産以外の方法で債務整理することも考える必要があるでしょう。