自己破産が連帯保証人である家族に与える影響
自己破産をするとき、家族が借金の連帯保証人(保証人)になっている場合は、家族に影響が生じてしまいます。
債務者本人が自己破産することで、連帯保証人(保証人)である家族が、本人に代わって借金の返済をしなければならなくなるからです。
債権者は、債務者本人が自己破産をして返済を続けることができなくなると、その連帯保証人(保証人)である家族に対して、返済を求める手続きを取ることになります。
もしも、履行するよう求められた保証債務の額が大きすぎて、連帯保証人(保証人)である家族にも返済できない場合には、その家族も自己破産や任意整理などの債務整理が必要となってしまいます。
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連帯保証人を引き受けたことが原因で、自己破産の申立をすることになってしまったという人は大変多いです。
連帯保証人は自己破産の債権者として計上
保証債務を連帯保証人(保証人)である家族が債務者本人代わって返済してくれる場合には、その家族は債務者本人に対して求償権を取得しますので、自己破産の債権者となります。
自己破産申立書に添付する債権者一覧表に計上して、裁判所に報告する必要があります。
多くの場合、破産申し立て時点では、連帯保証人(保証人)である家族は、まだ債務者本人に代わって返済(代位弁済)を実行していないので、「将来の求償債権者」という立場で、債権者一覧表に記載しておく必要があるでしょう。
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家族が連帯保証人か保証人であるかの違い
似ているようですが、保証人と連帯保証人には違いがあります。
そのため、家族が連帯保証人か保証人かによって、家族が自己破産によって受ける影響も違いが出ます。
保証人には連帯保証人には認められていない次のような権利があるためです。
保証人に認められている権利
- 催告の抗弁権
- 検索の抗弁権
- 分別の利益
債権者が保証人に対して返済を求めてきた場合、「まず、主債務者に対して請求して下さい」と主張できます。
主債務者に資力があるのに主債務者が返済を拒んだ場合、債権者が保証人の財産に強制執行をしてきたとしても、「まず、主債務者の財産から執行して下さい」と主張できます。
保証人が複数いる場合、債権者が一人の保証人のみに対して全額請求してきたとしても、「保証人の人数で割った金額だけを支払う」と主張できます。
これに対して、連帯保証人にはこれらの主張が認められませんので、保証人よりも責任が重いと言えます。
そのため、金融業者が保証人を求めるときは、「保証人」ではなく「連帯保証人」であることがほとんどです。
従って、家族が保証人になっている場合、その立場は「連帯保証人」であると考えるのが普通ですので、家族には自分自身の借金問題として対応する責任が生じることになります。
連帯保証人でなくても自己破産は家族の協力が必要
- 家族に知られたくない
- 家族に内緒で破産したい
稀に、自己破産することを(したことを)家族に知られたくないという方がおられます。
しかし、家族が連帯保証人ではないからといって、家族の協力なしに自己破産を申し立てることはむずかしい可能性があります。
自己破産の申立では、個々のケースにもよりますが、家族と同居している場合、家族の協力を得なければ収集できない資料の提出を裁判所から求められることがあります。
例えば、
- 家族の課税証明書
- 資産に関する書類
- 家族名義の通帳の提出(水道光熱費の引き落とし口座)
などです。
家族本人にしか取り寄せできない書類や、家族が所有(保管)している書類もあるため、家族の協力なしに、自己破産を申し立てるのはむずかしいでしょう。
裁判手続き以外でも、自己破産後の生活を立て直していかなければならないことを考えれば、経済面で家族の協力は不可欠ではないでしょうか。
ただ、同居する家族がいない一人暮らしの方で、家族が連帯保証人ではないという場合には、家族に内緒で自己破産手続きすることができる可能性もあるかと思われます。