取引履歴の開示請求はなぜ必要なのか
取引履歴の開示請求は、債務整理をする際、最初にしなければならないことの一つです。
いつ、いくら借りて
いつ、いくら返したのか
債務整理をする上で、取引の詳細を明らかにすることは必須となっています。
では、その理由について見ていきましょう。
取引履歴の開示請求で負債額を確定させる
借りては返すという借金生活を続けていた人が、債務整理で借金を整理しようとする場合、自分の負債額を確定する必要があります。
貸金業者からの請求額が、法律上の返済額であるとは限らないからです。
そのために、まず取るべき手続きが、貸金業者から全ての取引履歴の開示請求をすることなのです。
開示された取引履歴によって、利息制限法所定の上限金利で、元本及び利息を計算し直します。
長期間にわたって返済を続けていた場合、利息制限法を超える金利(いわゆるグレーゾーン金利)で利息を払わされている可能性がありますので、全ての取引履歴を取り寄せた上で行います。
このことを引き直し計算といい、利息制限法を超過して支払った利息は元本に充当されます。
過払い金が見付かることもある
利息制限法所定の上限金利は次のようになっています。
元本 | 利率 |
---|---|
10万円未満 | 年20% |
10万円以上100万円未満 | 年18% |
100万円以上 | 年15% |
グレーゾーン金利での取引が長ければ長いほど、利息制限法超過利息が多くなるため、大幅に元金は減少します。
残元金以上の利息を払いすぎている場合には、過払い金が発生していることになります。
取引履歴の開示請求はできるだけ早く
いつ、いくら借りて、いくら返したかという取引明細を手元に残していればよいのですが、そのような方はなかなかいません。
そのため、貸金業者に対して、取引履歴の開示請求をする必要が出てくるわけです。
しかし、貸金業者によっては、取引履歴の開示を請求しても、開示までに日数を要し、手元に届くまでに数ヶ月かかることもあります。
借金完済済みの方が過払い金調査のために取引履歴を取り寄せる場合には、過払い金返還請求権の時効の問題もでてきます。
取引履歴が手元に届くまでの間に時効が成立してしまうかも知れないからです。
取引履歴がないと引き直し計算が出来ず、法律上の負債額や過払い金の額を確定することが出来ません。
取引履歴の取り寄せは、債務整理手続きの第一歩ともいえる重要なものです。
できるだけ早く、取引履歴の開示請求をすることが大切です。
取引履歴の開示請求に応じない業者はいる?
取引履歴の開示義務が貸金業者にあるか否かについては争いがありました。
しかし、最高裁判所の平成17年7月19日判決で、
との判断が示されました。
また、同判決では、
とも判断されました。
そのため、取引履歴の開示を拒絶する貸金業者はほとんどいなくなりました。
開示しない業者への対応
しかし、最高裁判決で、上記のような判断が示されたにもかかわらず、
と言って、すべての記録を開示しようとしない貸金業者も存在します。
このような貸金業者に遭遇した場合は、監督庁に行政指導を申し出るなどして再度開示を促すという方策があります。
それでも開示されないようであれば、
- 債務者が保管している契約書
- 債務者が保管している取引明細書(入出金伝票)
- 債務者本人の記憶
などを基にして、借入額と返済額の時期や金額を推定して計算することもあります。
個人でこのような業者に応対することは困難であると思われる場合は、弁護士等の法律家へ相談するようにしましょう。
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