自己破産しても免責決定が確定しなければ借金はなくならない
自己破産しても免責決定が確定しなければ借金はなくなりません。
免責とは、破産手続上の配当によって弁済されなかった債務について、裁判によってその債務についての責任を免除することです。
自己破産をして、破産手続開始決定を受けても、債務の支払いを免除されたわけではありません。
自己破産は、破産状態であると認められただけであって、借金を払わなくてもよくなるわけではありません。
破産手続が終了しても、返済されず残った借金はそのまま残ります。
破産手続上の配当によって弁済されなかった債務について、その支払いについての責任を免除されるためには、免責決定を得る必要があります。
免責決定は官報に掲載され、掲載されてから2週間以内に、債権者から不服申立てされなければ、免責決定が確定します。
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免責決定が確定してはじめて、残った債務を支払う責任が免除されることになります。
ポイント
すべての破産債権について免責の効果が及ぶわけではなく、免責許可決定の確定後も、責任を免れることのできないもので、非免責債権と呼んでいます。
免責決定までの流れ
免責決定を得るためには、裁判所の審理を受けます。
その際、裁判所は、債権者に対しても、一定期間(意見申述期間)を設けて、免責に関する意見申述書の提出を求めています。
これは、債務者(破産者)を免責させるについて、債権者からも意見を聞こうというものです。
債権者から何も意見書が提出されないケースがほとんどですが、稀に、債権者から不服の意見(破産者を免責させるべきではないという意見)が提出されることがあります。
債務者(破産者)側としては、不服意見に対する反論書を提出するなどして、対応していくことになります。
債権者から不服意見が提出されたとしても、免責許可とすることに何ら影響がないと裁判所が判断した場合には、免責決定を受けることができます。
自己破産で免責決定が下りないケース
- ギャンブルや浪費で借金を作った場合
- 借金を返せないことが判っていながら嘘をついて借金をした場合
などの免責不許可事由に当てはまる場合には、裁判所は、免責を許可しない場合があります。
免責不許可事由
免責不許可事由には、主に次のようなものがあります。
- 財産があることを裁判所に申告せず隠していた
- 財産を不当に安い価格で売却した
- クレジットカードで物を購入し、著しく安い価格で売却した
- 一部の債権者にだけ、返済をした
- 高額過ぎる買物やギャンブルによって、著しく財産を減少させたり、過大な債務を負担した
- 詐術(嘘をつくこと)によって、相手を誤解させて信用取引をした
このような、免責不許可事由に当てはまる場合であっても、免責不許可事由の程度が軽い場合、破産に至った経緯などの諸事情を考慮して、裁判所の裁量により、免責が認められる場合もあります。
従って、免責不許可事由に当てはまる行為をしていたからといって、自己破産申立ができないと諦める必要はありませんので、弁護士や司法書士へあなたの事情を伝えた上で相談してみることをおすすめします。