財団債権とは?
財団債権とは、破産債権者に優先して、破産手続きによらずに、随時、破産財団から弁済を受けることのできる債権のことです。
財団債権は、破産債権の配当に先立って、弁済を受けることができます。
財団債権間においても、その内容によって優先順位があります。
最も優先される財団債権は、管財人報酬となっていいます。
財団債権として代表的なものとは?
財団債権として代表的なものに、つぎのような債権があります。
- 破産債権者の共同の利益のためにする裁判上の費用の請求権(破産法148条1項1号)
- 破産財団の管理、換価及び配当に関する費用の請求権(同2号)
- 破産手続開始当時にまだ納期限の到来していない破産手続開始前の原因に基づいて生じた租税等の請求権(同3号)
- 破産手続開始当時に納期限から1年を経過していない破産手続開始前の原因に基づいて生じた租税等の請求権(同3号)
- 破産手続開始前3月間の破産者の使用人の給料の請求権(149条1項)
- 破産手続の終了前に退職した破産者の使用人の退職手当の請求権のうち,退職前3月間の給料の総額(その総額が破産手続開始前3月間の給料の総額より少ない場合は破産手続開始前3月間の給料の総額)に相当する部分(同条2項)
破産法改正で変わった財団債権
旧破産法では、租税等債権は、財団債権として、優先的破産債権(労働債権)よりも、さらに優先的に支払いを受けることができました。
そのため、
税金は全額支払えたが、労働債権は配当することができなかった
という破産事件が多々見受けられ、労働債権者保護の観点からは、課題があるものとなっていました。
しかし、平成17年(2005年)に破産法が改正され、財団債権の扱いが大きく変わることとなりました。
旧破産法において、
- 優先的破産債権であった労働債権の一部は財団債権化(149条1項及び同条2項)
され、
- 財団債権として扱われていた租税等債権は、一部破産債権化(98条1項)
されました。
これによって、新破産法では、労働債権は、その一部が、より優先的に支払いを受けることができるようになったのです。
一方、租税等債権のうち、破産開始当時納期限から1年を経過したものは、財団債権から優先的破産債権に格下げとなりました。